フランス駐在西方見聞録
私は1993年から5年間、会社の仕事の関係でフランスに駐在しました。それは日本人の抱くフランス感とは少し違うものでした。生活して感じたフランスやその時の出来事を公開していきたいと思います。
マルシェにて
毎週土曜日はマルシェ(朝市)が市庁舎の裏で開かれる。一区画ずつ野菜や果物、鶏のブロイラー、生きた鶏やウサギ(ペットというより食用らしい)なども売っている。日本では見たことがないような大きなピーマンやきゅうり、マシュマロや朝鮮あざみ、小さくて赤い美味なラビッシュ(百日大根)などどれも見ていてあきない。また季節によって果物もチェリーや桃などおいしいものばかり。秋には狩で獲れた野生の動物(ジビエ)でキジや野うさぎなどがそのままの姿で店のテントに吊り下げられている。こんなマルシェで同じような店がたくさんあるのですが、不思議なことに毎週見ていくうちに、自分のお気に入り、行きつけの店ができてくる。こちらに来たばかりの頃、妻がたくさんのりんごを買ってきた。『どうしたのそんなにたくさんのりんごを買い込んで?』とたずねた私に、妻いわく『4個の意味でキャトル(4)と言ったら、4キロもくれたの・・・。』
マルシェの後の楽しみ
マルシェで買い物をした後の楽しみは、冬の11月から3月初めまでは、カフェの前で生牡蠣を行商が店を構えて売っていて、好みの牡蠣を選ぶと、ナイフで器用に、殻を開けてくれて、カフェの店の中に持ってきてくれる。もちろん持ち帰りもできる。大きさにもよるが12個で1500円から2000円くらいである。白ワインと一緒に食すと最高だ。生レモンをぎゅっと絞って生牡蠣にかけると牡蠣が反応して身がしまる。それとどういうわけか、黒パンとバターがついてくる。牡蠣に合うとも思えないようなこの組み合わせがなぜか絶妙でフランス的だともいえる。土曜日の昼にこれを味わってほろ酔い加減で家に戻っていくのが極上の楽しみでもあった。
カフェにて
3月が過ぎると牡蠣の行商も店をたたみ、カフェのお店も普通の喫茶店となる。それでも私はマルシェの後はコーヒーを飲みに立ち寄る。こちらのコーヒーはいわゆる小さなカップのエスプレッソである。アロマで泡立っており非常においしい。こんな濃いコーヒーなんて飲めるのかなと思ったけどブラックでも飲みやすい。いつも薄いビターチョコがつくのでそれと一緒に飲むと余計おいしく感じる。店の人に(若いウェイトレスでも)マダムと呼びかけ(結婚しているかどうかわからない場合マダムのほうが1人前の女性として失礼にあたらないので)『アン・カフェ、シィルヴープレ(コーヒーをお願いします)』と頼む。もちろん店の中は禁煙と喫煙のエリアに分かれている。そういえばこちらではアイスコーヒーなるものがない。きっとこちらの感覚ではコーヒーを冷たくして飲むなんて飲み物として邪道として思っているのではないだろうか。ヨーロッパではギリシャに行ったときに初めてアイスコーヒーにお目にかかったが、その1回だけであった。
大広場(グラン プラス)
フランスは日本の面積の2倍で人口は半分の5千万人。ということは人口密度は日本の4分の1といえる。イメージはスケールを大きくした北海道のような感じだ。札幌だけが別格であるように、フランスもパリだけが別格である。それ以外はほとんど見渡す限りの畑で、車で走っても町と町の間は何もない。一般の道路で80キロ制限なので、100キロ以上で飛ばしている車もある。そして町長がいるこの町はコミューンと言われ3万ほどあると言われている。ほとんど人気がないような町でもパリと同格のコミューンなのだ。大きな町になると中心にその町の権威を示す大きな教会(バジリク)がある。そして市庁舎(オテル・ド・ヴィル、Hotel de vill、ホテルと勘違いしやすいがHotelとは庁舎の意味)と大広場がある。見知らぬ町へいく場合は、ほとんどこの辺を目指していけば、町の中心に来たことになる。私の住んでいたサンカンタンも広場を囲むようにして市庁舎、劇場、レストラン、銀行、クリーニング屋、本屋などがあった。そんな店をぶらっとするのも好きだった。
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